1度目の死産(18)

退院の日も早く起きました。

 

起きると涙が出てしまいます。

外が明るくなるのを見ながら、赤ちゃんのいないぺったんこになったお腹をさすっては泣きました。

 

お腹は痛くありません。

今日は早く退院しなければいけないため、持ってきたものの整理をしました。

 

その時、部屋のナースコールが鳴り、声がします。

「toroさん、診察をするので診察室前の待合所に来てください。」

退院が早いせいか いつもより早い7時過ぎには退院前の診察に呼ばれました。

 

待合室で診察に呼ばれるのを待ちます。

この時間は産婦さんの一斉検診の時間なのか、診察室前に着くとすぐ後から産婦さんたちが何人か来て楽しそうに話をしていました。

「母乳が」「泣き声が」そんな単語が聞こえます。

 

その中で1人だけ病衣を着ている私。

 

この時はさすがに自分が惨めに感じました。

向こう側にいけない自分。

涙が出そうなのを必死で我慢しました。

 

看護士さんが診察室から出てきて最初の産婦さんを呼びます。

 

呼ばれた産婦さんは「あちらの方が最初に来ていたので、あちらからいいですよ。」と私を促しました。

 

看護師さんは戸惑っています。

だって私は普通の産婦ではないから。

 

知らないことは残酷だと思った。

その産婦さんは全く悪気はない。

知らないのだから。

産婦さんたちの列に私が並べるはずがない。

 

看護師さんが察して

「しばらく待ってね。」

と言った後、別の診察室に私を呼びました。

 

 

 

診察はすぐに終わります。

先生は「大きい子宮筋腫はあるけど、今回はそれが原因ではなさそう。妊娠・出産できたから取らなくてもいいだろう。」と言いました。

子宮筋腫を取るとその分子宮も薄くなってしまうということで、次の妊娠も子宮筋腫があるままでいいということになりました。

 

 

診察が終わるとまだ産婦さんたちは何人かいて順番を待っています。

時折笑い声が聞こえる。

 

私は部屋に戻りながら、先生にもらった「流産」と書かれた紙を見て、耐えきれずに泣きました。

 

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1度目の死産(19)

 

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